呼吸・横隔膜・肩 踊りに効く体幹の使い方 Vol.2

目次

踊る身体をつくるヨガ vol.2

vol.1では、足の指から首までの連鎖についてお伝えしました。
今回は上半身の内側——呼吸・横隔膜・胸まわりの筋肉に入ります。

「胸が持ち上がらない」「肩が上がってしまう」「アンジュレーションがうまくいかない」
そうした悩みの多くは、呼吸と筋肉の使い方に原因があります。

1. 横隔膜——呼吸の要

横隔膜は、胸腔とお腹を分けるドーム状の筋肉です。
呼吸のたびに上下に動き、内臓をマッサージし、体幹を安定させる働きもあります。

ところが、長時間の座り仕事、猫背、ストレス、浅い呼吸が続くと、横隔膜の動きが制限されてしまいます。
呼吸が浅くなり、肋骨まわりが固まり、胸椎の動きも連動して失われていきます。

「お腹に力が入らない」「胸と腹部を分離して動かせない」という方は、まず横隔膜に息を届ける練習から始めることが大切です。

2. ヨガの呼吸と浄化法——気を整える

ヨガには様々な呼吸法(プラーナヤーマ)があります。
大きく分けると、「気を落ち着かせ、下げる呼吸」と「浄化して気を巡らせ、活性化する呼吸」の2方向があります。

気を下げる呼吸
吸う時間より吐く時間を長くする呼吸です。
副交感神経が優位になり、身体の緊張がほぐれます。
レッスン前や、頭が忙しいときに効果的です。
肩の力みが抜け、横隔膜が動きやすくなります。

浄化して気を巡らせる呼吸(カパラバティ)
カパラバティはプラナヤマ(呼吸法)ではなく、クリヤ(浄化法)に分類されます。
短く強い呼気を繰り返すことで、体内の停滞した気を動かし、巡りをよくします。
浄化されることで気が上がり、身体が内側から活性化されていく感覚があります。
動く前の準備や、眠気を払いたいときに使います。

ベリーダンスのレッスンは音楽に乗って動きます。
音があると、意識は外に向きます。
呼吸法の練習は音のない静寂の中で行うからこそ、自分の内側の状態に気づくことができます。
音あり・音なし、両方の観察が身体を整えていきます。

3. 「あばらを締める」とは

「あばらを締める」という言葉、ダンスのレッスンでよく使われます。
ただし、これは解剖学的な表現ではなく、感覚を伝えるための指導ワードです。

正確には——反り腰になると骨盤が前傾し、腰椎が過度に前弯します。
その結果、肋骨の下部が前に突き出た状態になります。
「締める」とは、この突き出た肋骨を本来の位置に戻す動きを指しています。

骨盤と背骨のアライメントを整えることで、腹横筋・腹斜筋などの深層の筋肉が働き、肋骨が自然に収まります。
ここが使えると、体幹が安定し、胸と腹部を分離して動かせるようになります。

4. 胸を持ち上げるとは——胸椎伸展

ベリーダンスのチェストリフトは、「胸を持ち上げる」動きです。
しかし、猫背や胸椎の硬さがあると、胸ではなく首や腰で代償してしまいます。

正しく胸を持ち上げるには——

・胸椎(背骨の胸の部分)が伸展(反る方向へ動く)できること
・肩甲骨が背骨側に引き寄せられること
・肋骨が収まった状態で胸だけが上がること

この3つが揃って初めて、きれいなチェストリフトになります。
ヨガの後屈のポーズは、胸椎伸展の練習として直接つながります。

5. 前鋸筋と広背筋——知っておきたい2つの筋肉

踊りに大きく関わるにもかかわらず、意識されにくい筋肉が2つあります。

前鋸筋(ぜんきょきん)——脇の下の筋肉
肋骨の側面から肩甲骨の内側縁につく筋肉です。
肩甲骨を胸郭に引きつけ、腕を前に出したり上に持ち上げるときに働きます。

ここが弱いと、肩甲骨が背中から浮き上がり(翼状肩甲)、肩が不安定になります。
腕を動かすたびに肩が上がってしまう方は、前鋸筋が使えていないことが多いです。

広背筋(こうはいきん)——腰の上から脇にかけての筋肉
背中の下部から腰、骨盤にかけて広がり、上腕骨につく大きな筋肉です。
肩を下げ、腕を後ろや下に引く動きで使います。

ここが使えると、肩の力みが抜けます。
「脇を締める」「肩を下げる」という指示は、広背筋を使うことで自然にできるようになります。
腕を長く・しなやかに見せるためにも欠かせない筋肉です。

6. なぜ肩が上がるのか

肩が上がるのは、悪い癖というより、身体の代償パターンです。

前鋸筋や広背筋が使えていないと、上部僧帽筋(首から肩にかけての筋肉)が過剰に働いて肩を持ち上げてしまいます。
また、呼吸が浅いと、吸うたびに肩が上がる呼吸になります。

「肩を下げて」と言われても下がらない方は、
下げるための筋肉(広背筋・前鋸筋)を使う練習と、呼吸の改善が先に必要です。

7. ボディウェーブとチェストリフトへ

ここまで読んでいただくと、ベリーダンスの動きとのつながりが見えてきます。

アンジュレーションは——
横隔膜・腹部・胸椎が順番に動いて、初めて波のように連続する動きになります。
どこかが固まっていると、波が途切れます。

チェストリフトは——
胸椎伸展+肩甲骨の安定+肋骨が収まった状態、この3つが揃って初めて胸だけが独立して上がります。

ヨガで身体の内側を整えることが、踊りの動きの質に直接つながっています。

 

次回 vol.3では、お腹の筋肉と骨盤についてお伝えします。

SHUSHU Bellydance Studioのヨガクラスでは、踊るための身体づくりを
丁寧に行なっています。
身体の使い方を見直したい方はぜひ体験レッスンへお越しください。

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